おふとんにくるまって

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【452】君にだけは話さないといけない

※本記事はネタバレを含みます

 

いかがお過ごしでしょうか。

何とか年内に終わらせたかったんですがもう少しかかります。なんなら嫌なタイミングで切ることになりそうです。すみません。

また以前からずっとですが、執筆の構成上ストーリー内で明らかになる情報が前後して発覚していたりしますがご了承ください。あと要点まとめきれなかったので今日めちゃくちゃ長いです。

というわけで以降ネタバレを含みますので苦手な方はお戻りください。

 

 

 

あんたがそんな顔してたらチアキって人も心配するだろうから、と頭皮マッサージ器をくれた門司くん。

そこまでわかりやすい顔してたんだなぁと悩んでいると、農園のおばあさんが「これまでに、過ごしてきた時間は嘘をつかないわ。二人の心を繋ぐ信頼の証がきっとあるはずよ」と言われ相談員はハッとします。

約束の指きりです。大切なものが見えなくなってしまったことに気づかせてあげることができるのはあなただけじゃない?と背中を押され、相談員は再び動き始めました。

門司くんにクロイワについて調べてもらおうとお願いすると、なんと新任の狩谷看守から彼はクロイワ財閥の子だと知らされます。

そういえば子供の頃に養父を亡くしたとか養子として引き取られたとか本当の両親は顔も知らないとか。ずっと前にチアキがそんなことを言っていた気がします。

 

タトゥーをきっかけに全てを思い出した結果面会謝絶した彼ですが、証拠隠滅の容疑が晴れたことで相談員は本土へ帰れる可能性が出たため、最後にもう一度会いたいとお願いし面会します。

初めは「好奇心旺盛な君をおとなしくさせるための都合のいい言葉だよ」と逃げようとしたチアキでしたが相談員は逃しません。私は今でも覚えてる、と指きりしたときのように小指をガラスに当てると、彼はほだされたように「君には敵わないな」と観念して話し始めました。

このとき指切りの約束の他にチアキは”誓い”をたてますが、それが何かは教えてくれません。

前にノートは使いすぎて白いところが無くなってたと話していたチアキ。最後は何を書いているかわからなくなっていてもその頃は満足していたと話します。

そして10歳になる頃、彼のいる児童養護施設にテツオ・クロイワが養子を探しにやってきました。彼は子供たち全員を一瞥するとチアキの前にやってきて頭を撫でたとき、自分が選ばれたことや初めて自分に家族と呼べる人ができることが素直に嬉しかったようです。

しかしチアキ曰く、彼が求めていたのは都合のいいおもちゃでした。

裕福な暮らしと引き換えに彼は自由を失い、勉強は家庭教師がずっとついていたため学校にも行かせてもらえなかったそうです。島での暮らしとさほど変わらないかもと教えてくれました。


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前回の記事で判明した背中にあるリコリスのようなタトゥー、あれは

花が葉を求めても出会えないように……、

おまえがいくら望んでも、おまえの本当に欲しいものは、決して手に入らない。

それを忘れないように おまえに刻んでおこう

と、養父の「忘れさせない」っていう思いが刻まれたものでした。

 

新任の狩谷看守です。確かに証拠隠滅を疑われた「黄金の蜂」がようやく見つかり容疑は晴れましたが、狩谷さんから言われることに違和感を覚えました。しかもこのタイミングで新キャラ…何かあるだろお前…。

面会後そもそも何故チアキは『黄金の蜂』を病院から持ち出したんだろうと考えてるとき、警察に渡した『黄金の蜂』もどこから見つかったか聞いてないし…と独り言を呟いていると「気になりますか?」って狩谷さんに言われ、さらに謎が深まりました。何なんだこの看守。

須田さんも少し怪しんでいるようで、狩谷さんにいくつか質問しているボイスレコーダーが存在します。

 

調べたらマネーロンダリングどころの話じゃなかった、と門司くん。

話を聞いてみると、ここ十数年の麻薬密売組織やマフィアとクロイワ財閥との流通を徹底的に洗ってみたら犯罪組織に相場以上の価格で武器を輸出していたことが判明。つまり、クロイワ財閥は資金洗浄の手間を財閥系列の子会社で行うことで相場よりも高く武器を売っていたことになります。

犯罪組織は汚れた金をそのまま使えるし、クロイワ財閥は高く武器を売れるからお互い美味しいよくできたサイクルだったというわけです。

こんなん絶対摘発されるべきじゃん!ってなるかと思いますが、こちらもしっかり理由を調べてくれていました。クロイワ財閥から定期的に使途不明金が流れている履歴が見つかり、流出のたびに方法や振込先を変えて巧妙に隠してあったものの全て一人の元大物官僚に行きつきます。

加えてクロイワ財閥は政府お抱えの軍需企業だから、政府は正規の取引に見せかけてクロイワ財閥から甘い汁を吸っていたようです。そりゃ摘発されんわ。

五十鈴大使がどこまでこの情報を掴んでいたのか定かではありませんが、五十鈴大使を狙ったのはおそらくクロイワ財閥から甘い汁を吸っていた政府の関係者だろうというのが門司くんが調べてくれた情報の中で明らかになったことです。長かった。

後にこの元官僚がシーハイブとも繋がっていたことが判明します。

 

じゃあチアキは命令されて仕方なく大使を?偽名を使って五十鈴大使に近付いたのはクロイワの親族とバレない為?など疑念が頭を埋め尽くす中、チアキから会議が終わってからの話を教えてもらいました。

会議のあと韓会社のコネクションを広げるための立食パーティーがホテルでは開催。チアキは出席者の顔ぶれだけ確認してその場を離れようとすると、五十鈴大使がチアキに話しかけてきました。

「君とシンガポールで会ったことがあるよ。覚えているかい?」と言われたチアキでしたが、そのときはチアキがちゃんと思い出せないこともあって話は長く続かなかったそうです。大使は何か言いたそうにしていましたが他の人に話しかけられたのを機にその場を離れ、五十鈴大使の部屋に向かいます。

このときの五十鈴大使、チアキを通して誰かを見ているような眼差しだったそうです。しかしチアキはまだ思い出していないようで理由はまだ定かではありません。

 

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そこからしばらくしてシーハイブと元官僚のつながりについて話すために再びチアキと面会します。

以前須田さんから「一時期経営が傾き島でのプロジェクトが次々と凍結されていったシーハイブに加賀美グループが手を差し伸べ経営再建を行い持ち直したが、本土ばかりで島の方は手つかずのまま封鎖されたのが二十数年前。

当時、政府と提携して様々な研究開発を請け負っていた」と教えてもらいましたが、門司くんの調べでさらに信憑性を増し、チアキに確認するとすべて真実だということが明らかになりました。

表向きは難病治療のための新薬開発だったその実態は政府が行っていたインテリジェンス政策*1のひとつ、それが『黄金の蜂計画』の研究です。

そもそも『黄金の蜂計画』とは人間の能力を最大限に引き出しそれを意のままに操ることを目的とした新薬の開発。洗脳実験も行われていたらしいですが、この辺りはハルト編ED3でも少し話されてます。

チアキが盗み出そうとした五十鈴大使の持つ『黄金の蜂』の本にはのその計画に関与した人物のリストが入ったマイクロチップが隠されていました。

それを手に入れるために五十鈴大使の部屋へ行ったあの日、本に挟まれた折り鶴見て思い出して驚いたというチアキ。そこにあった古ぼけた折り鶴はチアキが折ったものでした。

以前の面会で「折り紙を教えてもらったとき自分が折った折り鶴の中から一番出来の良いものをその人に渡した」と話してくれたんですが、そのときの人こそ五十鈴大使だったということに他なりませんでした。そのとき不意に色々な感情が浮かんできて、チアキはチップを手に入れることをためらってしまったそうです。

そもそも何故チップを手に入れる必要があったのか。すぐには話してくれず当初は「でも大使を襲った犯人は俺じゃない。ここで嘘を言ったら、君の手が離れてしまうだろう」と話していましたが、実際はCIAからの依頼でチップが必要というわけでした。

 

チアキがCIAから依頼を受けて動いていた諜報員というのは、河内さんも掴んでいた情報でした。

マネーロンダリング問題を調べているうちに『黄金の蜂計画』の存在を知った五十鈴大使、『黄金の蜂計画』の関係者の中にはマネーロンダリング問題の首謀者も含まれていたようです。

リストには政界・財界を問わず権力者の名前が並んでおり、リストを手に入れることはその権力者たちの弱みを握ることと同じためCIAもリストを狙っていたんだろうと河内さんは教えてくれます。彼らにとってはマネーロンダリング問題を解決するよりもよっぽど利用価値があったのだろうと。

さっそくチアキに真実を確認すると事実だと頷きました。普段は各国の情報収集が主な仕事であり、今回のように指定のものを手に入れるような仕事はイレギュラーでした。

CIAは『黄金の蜂計画』の存在をしていたものの証拠はつかめておらず、そんな折に五十鈴大使が『黄金の蜂計画』の関係者リストを手に入れたことをCIAが独自のルートで情報を入手。こちらの動きを悟られないよう日本の中に隠されたマイクロチップを盗み出すことがチアキが受けた依頼でした。

そこからは怪我をし病院を抜け出すまでの話をチアキから聞きます。五十鈴大使の部屋で『黄金の蜂』の本を見つけると突然大使が部屋に戻り驚きつつも本ごと懐に仕舞ったチアキ。少しして火災報知機が鳴り、ホテルの従業員が「避難誘導をするので扉を開けてほしい」と尋ねてきたため大使が扉を開けた瞬間、男が大使に襲い掛かります。

大使は抵抗する間もなく深手を負って倒れましたが、一部始終を見ていたチアキは思わず身体が動いて男に立ち向かい、致命傷は避けられたもののいくつか受けた傷は深く意識を保つだけで精一杯だったそうです。

その後逃げようとする男を追いかけようとしたものの意識が途切れ廊下に出たところで倒れてしまいます。これが事件当日の真実でした。

もっと話すべきだったと話すチアキは同時に「君の…俺を見る目が変わってしまうのが怖かった」と震えた声で吐露します。もう…言葉にならない感情が筆者の中を埋め尽くしましたよ。もっと甘えてこい。


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その後狩谷さんから『チアキ・カシマ』が病院を抜け出した後のことを教えてもらいます。

彼は路地で倒れていたところを相談員が見つけこの施設に搬送されましたが、記憶障害は別として体の回復よりも意識が混濁した状態から抜け出すことに時間がかかったそうです。ここからは狩谷さんの憶測ですが、おそらく何らかの方法っで暗示にかけられていたのではないかと話します。

それからチアキが病院から持ち出した『黄金の蜂』、相談員が本を手渡した相手は警察の方ではないと狩谷さんに知らされました。

『外交官襲撃事件』が発生してすぐ事の重大さを察知した『ある組織』が秘密裏に動き、そのため警察に『黄金の蜂』が渡らずそれを知らない警察が相談員にあらぬ嫌疑をかけたようです。

『ある組織』と警察は敵対しているとまではいかないものの縄張りが違うようで、警察が誤解している方が相談員を保護するのに最適なこの施設に留めおけるため都合が良かったと狩谷さんは続けて話します。

何故こんなに話してくれるのか。狩谷さんに質問すると本来なら話すつもりは無かったとしながらも「少しあなたに借りがありましたので」と教えてくれました。ここ情報通の看守ってなんやねんとツッコミ入れていいと思います。怪しすぎる。みんなで訝しんでこ。


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先ほど「何らかの方法っで暗示にかけられていたのではないか」と狩谷さんから聞きましたが、チアキと初めて会ったときSSのようなことを言っていたことを相談員は思い出します。

チアキに聞くと『メリッサ』だということが判明。『黄金の蜂計画』のコードネームだそうです。さらに病院に居たときの話で、誰から差し入れられたかわからない花の匂いを嗅いだ時、自分が自分ではないような妙な感覚に陥ったと話すチアキ。その日の夜、チアキは『黄金の蜂』を手に病院から抜け出したそうです。

何らかの失敗をしてもマイクロチップだけはCIAの元に行きつくよう花の匂いをトリガーに発動する暗示がかけられていたんだろう、とチアキは話しました。

CIAに加わった経緯って本編にあまり関係ないんですが日本に来て数年経った頃にチアキの身体能力や言語力、知識力、それに天涯孤独という都合のいい条件に目を付けたCIAが協力を要請してきたようです。その頃のチアキはまともな職にはつけないと思っていたので言われるがままに引き受けたのでした。

『メリッサ』については最後に書きます。


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面会終了後、狩谷さんに案内される相談員。チアキはこれからどうなるんだろう、と質問すると「パスポート偽造とスパイ行為等諸々、取り調べが済んだら通常なら国へ強制送還なんですが…まだ具体的には分かりません」と言われ、相談員はチアキのことが心配になります。

強制送還っていったあと具体的にはわからないって言った狩谷さん、相談員の表情を見て付け足した優しい心をまだ持ってるんだなと妄想しておきます。

その後はテツオ・クロイワについて少し話を聞きました。SSのとおり、別邸で火事がありチアキも当時その別邸に住んでいたものの命に別状はなかったようです。また会社の権利までは相続しなかったようですが養子縁組をしている彼には多額の遺産が渡り、当時未成年だった彼は遺産を手に入れたあと突然姿を消したそうです。


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更に詳しく聞こうとチアキと面会し尋ねると、火事の後すぐ日本に飛んだそうです。

火事の後始末や相続の手配をしてくれた人が日本人で、その人の配慮で日本で暮らすことになったチアキ。火事のショックで正気を保てる状態ではなかったようで、事件の記憶を思い出した今でも火事から数ヶ月の記憶は断片的にしか覚えておらず誰が手配してくれたのかもわからないようでした。チアキはクロイワ財閥所属の弁護士だろうと予想しています。

当時のチアキはクロイワと血のつながりも無いし未成年だったこともあって適当な施設送りでもおかしくありませんでしたが、その人はチアキの気持ちが落ち着くことを一番に考え一人でも困らない手筈を整えてくれたそうです。

それでもまともに暮らせるようになるには時間がかかったというチアキ。あの頃は全ての感情をどこかに忘れてきたような、生きながら死んでいるような状態だったようです。それでも季節が移るごとに少しずつ感情を取り戻せました。

もう同情とか感情ぐちゃぐちゃだった筆者は「今のチアキに会えて嬉しい」と相談員を通して伝えます。するとチアキは「いつも自分が思うまま自由に飛び出していく君と話していると、自分が凝り固まっていたことに気づかされる」「俺がこうして君に会ったのは…無くした感情を、全て取り戻すためなのかもな」と話してくれました。

「君がいることで、俺はやっと満たされるんだ」と幸せそうな顔をするチアキでしたが、だから君にだけは話さないといけない、と一転して目の色が変わります。

火事のあと茫然自失になったのは火事で養父を亡くしたことにショックを受けたわけではなく、チアキが養父を殺したからでした。

 

 

ここまで読んでくださりありがとうございました。

いや長い。すみません、カットしきれませんでした。

というわけで『メリッサ』について書こうと思うんですが、筆者と同世代の人はまず歌が流れてくると思います。きちんと調べると出てくるのはシソ科の植物、見た目はミントに似てますが香りはレモンやライムのような柑橘系で強い日に当たると山椒の香りにも似てくるそうです。おそらくレモンバームって名前の方が有名かなと思います。

そもそも『メリッサ』とはギリシャ語で蜜蜂を意味する言葉で、その名の通りこの花の蜜は美味しくミツバチが群がるとのこと。もう『黄金の蜂計画』のコードネームって言うのも頷ける名前です。

アオイ編はこういうの無かったな…。

 

 

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それでは、おふとんにくるまって。おやすみなさい

小森千代

*1:国家間における情報戦の対抗策。また国の安全保障を担保するために各国の政治、経済、それに訓示情報を収集する政策。時に非合法な手段が含まれることも。